根から滑り落ちた雪が軒下に積み重なり、その上にまた屋根から雪崩れてくる。
大人の背丈を超えるほどうず高く積み上がった雪の山。
これほどの量はいつ消えるのだろうかと呆然としたものです。
それも束の間、3月に入った途端に急ピッチで山が低くなりました。
中旬には、あれほどあったのがどこに行ったのと訝しく感じるほど少なくなり、そして待ち焦がれた土が姿を現しました。
田んぼも切り株が見えたと思う間もなく、白一色から茶色の世界が急速に広がります。
白と茶色のまだら模様の中で、なにやらうごめく白い塊が。
天童市の北隣の東根市の道路を車で走行中、前方の田んぼで雪が動いているのではないかと錯覚し、思わず停車してしまいました。
目を凝らしてみると、白鳥の群れです。
大群といってもオーバーでないほどの数が見渡す限りの田んぼでエサをついばんでいるのです。
500羽は軽く超しているようです。
毎年、この周辺で白鳥の姿を見かけますが、こんなに多くの群れは初めてです。
今冬の豪雪と何か関係があるのでしょうか。
白鳥たちは、田んぼの雪融けとともに、より北側の田んぼに移動していきます。
北帰行を前に、いかにたくさん食べて体力を蓄えるか。
われわれの目には優雅についばんでいるように見えますが、彼らにとってはシベリアまでの大移動に備え生死をかけた作業なのでしょう。
一般道から農道に入り、群れの直前まで車を進めても、何ら気に留めることなく嘴を動かしています。
それほど必死なのでしょうね。
無事に日本海を渡ってほしいものです。
ことしは例年になく桜の開花が早いようで、今月20日過ぎには太平洋側の花見の映像が流れるようになりました。
雪国にもようやく遅い春が訪れ、山形市のお城址の霞城公園内の梅も咲き始めました。
紅梅が先行しており、白梅の本格的な開花はこれからのようです。
それでも待ちわびた市民が次々に訪れ、花芯に顔を近づけてかぐわしい香りに目を細めていました。
公園内には約1500本の桜がありますが、当然のことながらまだ硬い蕾のまま。
このうち1400本余りが樹齢100年を超えるソメイヨシノです。
青空の下、蔵王の白い山並みをバックに咲き誇る光景も素敵ですが、城跡のお堀を埋め尽くす花筏は息をのむ美しさがあります。
かすかな風で次々に姿、形を変えていく様はいくらながめていても飽きることがありません。
新型コロナウイルスの感染拡大で、のんびり花見もままならない状況に。
こんな日々がいつまで続くんでしょうね。
1日も早く以前の日常生活に戻れるよう願わずにいられません。
(2021/03/29)