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2025年 11月~12月号 辻蕎麦便り

菜園の秋冬物野菜を見ていると、本当に秋が短くなったことを痛感せざるを得ません。
満足に成長しないままに冬を迎えた姿は、どこか痛ましく、きちんと育ててやれなかったことに情けなさが込み上げてきます。
すべてが温暖化による異常気象のせいだけでないのは分かっていますが、寒さが増してきた畑の中に立ち尽くしていると、やはり“高温”への恨みが募ってきます。

ダイコンや白菜、カブなど秋冬物野菜の多くは8月に種を蒔くのが適当といわれています。
しかしここ数年、異常なほどの高温で菜園の土は播種に適さない温度にまで上昇し発芽しにくくなってきました。
種を蒔く時期を後ろにずらしてみたところ、発芽は揃うものの、今度は生育期間が足りなくなってきたのです。
栽培のスタート時は暑すぎて芽が出にくくなり、ようやく育ち始めたと思ったらしばらくして気温が急激に低下し、生育が鈍くなる。
生育期間が短すぎて、白菜やキャベツなどは結球がしっかりできないし、大根やニンジンは普通の長さや太さまで届きません。
生育期間が短くなったとともに、土中の害虫が増えてきているような気がします。
以前に比べて害虫被害も格段に増え、地際で茎が食い荒らされているのがやたら目立ちます。

生育環境が大きく変化した中で、どうすれば良いのか。
周囲の畑を眺めていると、多くはわが菜園同様ですが、全員が討ち死にしているわけではないようです。
それらしい野菜を収穫している姿も見受けられます。
年ごとに短くなる生育期間や増える害虫などとどう戦うか、白い世界が広がっている間に腰を据えてじっくり探ってみなければと思います。

「毎日のようにニュースになっているけど、その辺は大丈夫」
九州や沖縄の友人からくる電話の開口一番は異口同音にクマ出没の話です。
寒さが増してきたら少しは収まるかと考えていましたが、どうやら甘かったようで、相変わらず市役所などから出没情報と注意喚起のメールが流れてきます。

市街地などでの猟銃の発砲は危険度が高く厳しく規制されてきました。
しかし住宅街でのクマによる人的被害の拡大に伴い、放置できない状況にまで追い込まれ、緊急銃猟の措置を施すことになりました。
先月中旬に仙台市で全国初の緊急銃猟が行われましたが、県内では今月末までに14頭が駆除されています。

クマの捕獲といえば、マタギと呼ばれる猟師たちが山深く分け入って行うイメージしかありませんでした。
まさか住宅の庭先にある柿の木の上で次々と駆除されるとは。
柿の実などはまもなく姿を消します。
次に狙う餌は何なんでしょうか。
いくら学習能力が高いといわれるクマでも、まさか食料品店に目をつけ、連れ立ってなどということはないんでしょうね。

(2025/11/30 辻蕎麦HP)

2025年 10月~11月号 辻蕎麦便り

寂しい秋ですね。
とは言っても「かさ、こそ」と落ちてくる色づいた木の葉を見て、センチメンタルになっているわけではありません。
山形の秋の風物詩である河原での芋煮会がほとんど姿を消したのです。
例年なら9月に日本一の芋煮会が開催された後、山形市の中心部を貫流する馬見ヶ崎川などの河川敷は芋煮会を楽しむ市民や観光客でにぎわいます。
それが今年は・・

原因はクマです。
市街地に出没し人や家畜を襲ったり、農作物を食い荒らしたりとさまざまな被害と恐怖をまき散らし全国的に大問題になっています。
人命も奪われるなどその深刻さは尋常でありません。
山形市のホームページに掲載されているクマの目撃情報は今月30日で265件に達しました。
ちなみに令和3年は48件、4年43件、5年82件、6年には74件ですから、今年がいかに異常かが分かります。
件数だけでなく出没した場所も昨年までは山林や山裾の農地がほとんどでしたが、9月以降連日のように住宅地や市街地の河川敷で目撃されるようになりました。

クマの影におびえながらの芋煮会やバーベキューでは秋の味覚を青空の下で満喫するどころではないでしょう。
クマが目撃された地域の小中学校は臨時休校や早退、保護者付き添いの登下校を強いられるし、子供たちが楽しみにしていた野外学習もほとんど取りやめになったとか。
数年前からこのブログでもエサになる木の実の凶作などクマにまつわる話を取り上げてきましたが、まさかこんな事態になるとは全く想像もできませんでした。
数年前、林道を走行中に車のすぐ前を親子クマ3頭が慌てて横切って藪の中に身を隠しました。
「怖い、逃げろや、逃げろ」的なあの後ろ姿からは、市街地で凶暴な行動に走るクマが同じ種類とはなぜか思えません。
人や車を恐れなくなったクマ。
突然変異じゃあるまいし、何が原因でこんなに変化してしまったのでしょうか。

下旬になってビッグニュースが飛び込んできました。
世界170カ国以上で旅行雑誌やデジタル媒体などを展開する米国・ナショナルジオグラフィックの「2026年に行くべき世界の旅行先25選」に山形県が選ばれたのです。
日本では一昨年の京都、昨年の金沢に次ぐもので、今回は国内で唯一です。
世界の中のわずか25カ所の1カ所ですから凄い。
他に選ばれたのは北京やブラジルのリオデジャネイロ、オーストラリアのエアーズロックなど。
蔵王や山寺、出羽三山などの美しい自然や温泉、それに料理の素晴らしさなどが高く評価されたとか。
世界中から訪れる人たちに山形のハイレベルのお蕎麦を楽しんでもらえる絶好の機会になりそうです。
「YAMAGATA SOBA」が海外で広く認知されると嬉しいですね。

(2025/10/31 辻蕎麦HP)