やまがた辻蕎麦 のすべての投稿

2025年 3月~4月号 辻蕎麦便り

なんか魔法にでもかけられたような感覚に陥った3月でした。
果てしなく広がる白一色の世界があっという間に早春の景色に変わったのですから。

毎朝のスムージーにする材料が無くなり、今月上旬急きょ雪堀りに挑戦。
わが菜園は吹き溜まりなのかまだ60~70㌢の雪に覆われていました。
結球したキャベツは降雪前にすべて収穫しましたが、球に成り損ねたもの10数株をそのまま残していたのです。
夏に苗を定植したのですが、生育適温をはるかに上回る高温の日々が続いたのが影響したのでしょうか、なかなか葉が大きくなりませんでした。
ようやく成長し始めたと思ったら、ほどなく気温が急降下。
きちんと結球する時間がないまま雪の下に。

一帯は白一色で、雪を踏み固めながらそれらしいところにたどりついたものの、キャベツの畝はどこ?
漁師は山合わせといって岬の山などを見て位置を割り出すと聞いたことがありますが、周辺の樹木などから見当をつけ、スコップを振るいます。
わずか60㌢の積雪でもなかなかの重労働で、汗をかきそうになるほど。
一発で掘り当てられれば嬉しいのですが、“見当違い”でやり直しも。
黒マルチの上のキャベツは雪の重さで完全に押しつぶされていました。
大方の人は平べったいキャベツなんて見たことがないどころか、想像したこともないでしょう。
寒さで傷んだ部分を取り除けばスムージーの材料として使うのには何の問題もありません。

その数日後、同じ場所に立って「えっ」。
探すのに苦労した畝が目の前に広がっているし、まだお休み状態ながら採り残したキャベツも。
一気に雪解けが進んだので大洪水を引き起こし、畝はさながら湖に浮かぶ島のよう。
クキタチ用に植えていた小松菜も姿を現す。
その大洪水も4、5日で治まり、野菜や雑草は一斉に息を吹き返したように冬の色から春の色に衣替え。
早春の緑は生命そのもののように感じられます。

暖冬小雪で、ゆるゆると冬から春に移った昨年と違い、今年の3月はちょっとしたドラマを見るように変化に富んでいます。
郊外の果樹園ではサクランボやリンゴ、桃などの剪定作業が急ピッチで行われ、梅の蕾は破裂寸前で、桜の枝もピンク色を濃くしてきました。
桜花爛漫の候は目前です。
桜の開花はジャガイモの種芋植え付け可能の合図。
いよいよ今年の野菜作りのスタートです。
寒さの中でもわずかずつ育まれ頭をもたげたフキノトウ。
フキ味噌や天ぷらにして早春の味を楽しみながら日本酒を傾け、来年は雪の下から平べったいキャベツを掘り起こすようなことがないようにと願っております。

(2025/03/31 辻蕎麦HP)

2025年 2月~3月号 辻蕎麦便り

先月「雪国山形」の「雪国」を返上しなきゃなどと書いた途端に、それこそ「どん」と音がするくらい降ってきました。
大寒になっても山形としては雪が少なく、暖かめだったのでひょっとしたらと思ったのですが、そうは問屋が卸しませんでした。
まさか立春とともに最大級の寒波と大雪がやってくるとは。
天がどこかで辻褄を合わせようと虎視眈々と狙っていたとしか思えません。
先月末の山形の市街地はほとんど白い世界が姿を消していたのに、いきなり60㌢近い積雪に。
慣らし運転がなかった分だけ除雪作業はきつく感じられました。

 県内全体がすっぽり雪の下に埋もれてしまいました。
気象庁のデータで青森県酸ヶ湯と豪雪全国一を競う大蔵村肘折は23日に336㌢を記録。
以前、3㍍超えの時期に肘折温泉を訪ねたことを思い出しました。
路面はきれいに除雪されていますが、運転席から見える空はうず高い両側の雪の壁にさえぎられてきわめて狭く、異次元の世界に迷い込んだよう。
交差点のカーブミラーなどはすっぽり埋まっています。
同じ雪国の山形市周辺でもなかなか想像できない光景です。
ことしも除排雪作業はさぞ大変だろうと思いをはせていたら、「3㍍程度で甘いんじゃない」という声が聞こえてきそうなところがありました。
「隠れ豪雪日本一」をうたう西川町志津です。
町役場が毎日積雪を公表していますが、1月31日に412㌢と4㍍を超え、今月20日には514㌢と5㍍を突破。
24日には536㌢までに積み上がりました。
気象庁の観測地点でないため公式記録にはなりませんが、人が住んでいる地域での積雪日本一は間違いないでしょう。
雪が多過ぎてリフトを運航できず、スキー場開きが4月中旬というのもうなずけます。

 大寒波と豪雪のニュースが飛び交う中、思わず「?」が頭を駆け巡るような出来事が。
新庄市街地のど真ん中にクマが出没しているというのです。
1日から2日にかけて中心部を移動。
市民会館やJR新庄駅前などで目撃され、最後は麻酔銃で捕獲されました。
その翌日の3日には、酒田市郊外の集落で目撃され、民家の車庫に36時間ほど籠城し姿を消しました。
両市とも山裾から目撃された地点まではかなりの距離があり、途中に集落が数多く点在しています。
2頭ともそこを気付かれずに通り過ぎ、どうしてわざわざ遠くまでやってきたのでしょうか。
不思議です。
この時期、クマたちは雪に閉ざされた山中で深い眠りについているはず、まさか里で動き回っているなど驚き意外にありませんでした。
専門家が新聞やテレビで降雪期に出没した理由を解説していましたが、どうやら異常気象がクマたちから降雪期の眠りを奪っているようです。
地球温暖化による影響は本当に多方面に及んでいるのですね。

(2025年02月28日 辻蕎麦HP)