紅葉にしても枯れ葉にしても青空をバックに太陽の光が透過し、クリアなX線写真のように葉脈を浮かび上がらせ、自然の造形美をたっぷり堪能させてくれる。
この季節ならではです。
異常気象に振り回されたこの1年ですが、季節感が比較的素直な月だったのではないでしょうか。
月末になりいよいよ天気予報に雪だるまのマークが登場するようになりました。
雪は自然の大いなるダム湖。
人間を含め生物が生きていくのに極めて重要だということは分かりながらも、雪国で暮らしていると、ついつい余計なものに思えてなりません。
天気予報の雪だるまに加えて、この時期は日照時間が極めて短い。
朝の6時ころでも薄暗く、張り切って起きようかなどという気分には到底なれません。
まして雨や雪ということになれば、少々ハイテンションの人でも憂鬱になるのではないでしょうか。
西高東低の完全な冬型気圧配置になる前に済ませようと、中旬頃から庭の樹木の雪囲いを始めました。
職人さんと違って手際よくてきぱきと進められるわけもなく、他の用事を抱えながらなので亀さん並みのスピードでやるしかありません。
なんせ長さが3㍍前後で、大人が両手でやや小さめの輪をつくったくらいの太さの稲杭、それと似たような長さで幅15㌢ほどの板を樹形に沿って立て掛け、藁縄で結束していきます。
1本の樹木で10数本必要なものが多く、結構な重さがあるし、縄を結ぶのも容易でありません。
雪の重さに耐えるような縄は結構な太さと硬さがあり、日に日に指の関節や筋に痛みが増してきます。
そんな作業の最中、縄を結び終え何気なく隣に目を移したら白く小さい桜の花びらが飛び込んできました。
えっ、雪囲いの時期に桜の花。
シキザクラ。
春と晩秋の年に2回開花する珍しい桜です。
花をつけたのをうっかり見逃していたので、一瞬ドッキリしました。
そうか今年も咲いていたんだ。
春に比べてか細げに映る花びらは晩秋の冷気にさらされより憐れを覚えます。
12月早々には降雪が予想されています。
降雪量はどうか平年並みか若干少なめでお願いします、と作業をすべて終えたあと天に向かって祈りました。
相変わらず新型コロナがはびこっています。
秋風が吹き始めたころから山形県では急激に感染者が増え、一時10万人当たりの感染者数が沖縄県に次いで全国2位になったというニュースが流れました。
その後もなかなか減少せず、小中学校などの学級閉鎖が相次いでいるといった話も聞こえてきます。
「もうそろそろではないか」「来春こそは」と幾度繰り返してきたことやら。
もう本当に勘弁してほしいものです。