2019年9月~10月 辻蕎麦便り

酷暑やゲリラ豪雨など厳しい気象にさらされた今年の夏でしたが、自然界の植物たちは強いですね。
いくら痛めつけられてもその都度立ち直り、すっかり実りの秋にふさわしい姿を見せてくれています。
その実りが満載の施設を紹介します。

 天童市の隣の東根市にあるJAの産直施設「よってけポポラ」。
2年前の日本農業新聞によりますと、年間売上高は13億円余り。
JA産直施設では全国で16位にランクされており、東北では唯一10億円を超しています。
約600人の農家が登録し、毎日、採りたての果物や野菜を持ち込んでいます。
売れ残った商品はその日のうちに回収するとか。
完全に畑と売り場が直結しているわけです。
ここの特徴は、なんといっても果物の多さでしょう。
全国生産の7割を占める山形県のサクランボ。
東根市はこの施設を運営するJAの名前「さくらんぼひがしね」からもうかがえるように、サクランボの主産地なのです。
このシーズンはモモが一段落し、ブドウに移ってきています。
シャインマスカットや巨峰など高級ブドウの代名詞のような品種が品物を並べる台にあふれるように積まれています。
あと1カ月もするとリンゴやラフランスなどが主役になるでしょう。
お客さんは周辺の住民でなく、意外にも多くが仙台市やその近隣の人たち。
実は東根市や天童市、山形市は奥羽山脈という日本列島の背骨の中ほどで仙台市と接しています。
仙台の中心部からこの施設までは車で約1時間。
ドライブを兼ねて買い物を楽しむ市民の車の列は長々と続き、土、日曜などは、仙台市内まで連なっているのではと思わせるほど。
駐車場の車のナンバーは「仙台」「宮城」が7~8割で、「山形」は1割ほど。
仙台郊外で買い物をしているのではないかと錯覚しかねません。
サクランボもそうですが、果物は遠くにいる家族や親せき、友人などに送るのでしょう。
自宅で消費する野菜と一緒に、化粧箱に入った果物を5箱、10箱と大量買いし、せっせと宅配伝票に記入する人たちであふれかえっています。

 山形の実りの秋の光景として目につくのは田んぼの黄金の穂波とソバ畑の広大なうねり。
うねりも純白から枯れた色に、茎も緑から赤味ががったものになってきました。
田んぼでは稲刈りが順調に進んでいます。
ソバの収穫もほどなく始まるでしょう。
いよいよ新蕎麦の季節がやってきます。
良質なソバがたくさん採れて、美味しいお蕎麦を皆さんにお届けできるよう期待しております。