文月。
ことしの東北は5月ころから連日のようにちょっと変わったニュースが流れています。
「熊出没」
「熊の目撃情報相次ぐ」
山深く分け入ったところならごく当たり前のことでしょうが、これが都市部での話となると穏やかではありません。
山形市の市街地を流れる馬見ヶ崎川。
毎年秋には日本一の芋煮会が開かれ、数万人の人出で河川敷が埋め尽くされるところです。
6月上旬、熊がここを徘徊しているのが目撃されました。
100㍍ほどのところに小学校があり、1㌔以内には県庁や県警本部もあります。
数年に一回くらい、天然記念物のカモシカが迷い込んで来ますが、よもや熊までが。
住民も相当に驚かれたようです。
サクランボの一大産地である東根市では、サクランボの被害が相次いでいます。
果物の宝石ともいわれているサクランボを10㌔も食べられたケースも。
熊にとってはこんな美味しいものが世の中にあったのかといった感じでしょう。
ただそれで味を占められると大変。
被害が一気に拡大しますから。
なぜこんなに熊の目撃情報が多いのか。
一説によれば、昨年の秋にブナの実をはじめ木の実が大豊作で、熊がたっぷり栄養をつけ子づくりに励んだせいとか。
その結果、山の中だけでは十分なエサを確保できなくなり、里まで下りて来ているというのです。
去年秋、栗拾いに行った林道で、車の直前を親子連れの熊3頭が横切り、あっという間に藪に姿を消しました。
助手席のカミさんは凍り付いていましたが、車内から見ている限りは実にかわいい。
しかし歩いていてばったり遭遇したらと思うとぞっとします。
どう対応するかなど瞬時に浮かんできませんから。
ことしの秋は一転して極端な木の実不足になりそうだとか。
東北森林管理局によりますと、ブナの結実見通しは山形、岩手、宮城、秋田県は「皆無」。
青森県はそれよりやや良い「凶作」ということです。
熊にとっては大変な飢餓の世界が待ち受けていることになります。
目撃情報が大幅に増えるのは必至でしょう。
「豊作」から「皆無」。
どうしてこんな極端なことが起きるのか。
自然ももう少し穏やかに推移できないのかと、何やら願わずにおれません。
これから焼畑でのソバ作りが始まります。
皆さんに美味しいお蕎麦をお届けするためにも、作業には細心の注意を払いながら進めたいと思っております。