水無月。
山形や天童から西の方を見ると、この時期でも青空に白い頂を刻んでいる山が2峰あります。
月山(標高1984㍍)と葉山(標高1462㍍)。
月山は出羽三山の一つで山岳信仰の山として知られ、江戸時代は参拝者が関東周辺から列をなして訪れたといわれています。
いずれも全国有数の豪雪地で、特に月山は万年雪が有名。
葉山も6月までは雪を抱いています。
ところが今年は、月山はともかく葉山の雪が5月末でほとんど姿を消してしまいました。
月山も例年より少ないような感がします。
暖冬ということもあったのでしょうが、5月に入り真夏日が連続するなどの異常気象、いや今やこれが通常か、それで一気に雪融けが進んだようです。
こんな山の様子を見ていますと、この夏の水不足が心配になってきます。
雪を頂く山々の手前に広がる盆地に目を向けると、一瞬、「えっ、雪景色」と見まごうばかりになっています。
白いビニールハウスや雨よけテントが果てしなく広がり、太陽の光を反射しきらきらしています。
この下にあるのは山形を代表する果物さくらんぼ。
実は、さくらんぼは水に弱く、色づき始めてから雨に当たると亀裂が生じてしまいます。
実割れを防ぐために開発されたのが雨よけテント。
昭和の50年代ころから急速に普及しました。
山形は日本一のさくらんぼ産地。
ではどのくらいの日本一?山形県の統計によりますと、全国の生産量はここ10年間の平均で18,500t。
このうち山形県産が13,500tと全体の約4分の3を占めています。
ダントツの日本一なのです。
明治時代の初め、国は殖産のため各県にさくらんぼの苗木を配布しました。
ところが気象や土壌などが適していた山形県以外ではうまく育たなかったということです。
また山形県では品種開発に情熱を傾けた人たちもおり、さくらんぼの代名詞ともいえる「佐藤錦」などを創り出してきました。
こうしたことが日本一の座に結びついたようです。
さて今年のさくらんぼは・・・
農家によりますと、高温の影響で平年より1週間近く早まっているようです。
「佐藤錦」のピークは18日~22日ごろ、「紅秀峰」26日~30日ごろとか。
例年なら7月10日近くまでもつのですが、今年は無理かもしれません。
車で園地の近くを通るたびにのぞきこんでいますが、急ピッチで光輝くルビー色に向かって濃さを増しています。
たわわに実り、吹き通る風に揺れる“初夏の恋人たち”。
ぜひ一度会いに来て下さい。