神無月。
2000メートル級の高山からは初冠雪の便りが届くようになりました。
いずこも例年より早そうです。
紅葉前線が高い頂きから足早に降りて来る日も近いことでしょう。
この時期の山形はキノコのシーズンでもあります。
キノコというと、首都圏のスーパーや青果物店の店頭に並んでいるのは、量は多いのですが種類があまりにも少ない。
よく見かけるのはマツタケ、ナメコ、シメジ、シイタケ、エリンギ、マイタケ、エノキタケ。
こんなところでしょうか。
しかし山形ではブナハリタケ、トビタケ、クリタケ、ヤマブシタケ、アミタケなどこのほかにもたくさんあります。
初めて目にする名前も多いのではないでしょうか。
ことしは8月下旬から雨続きだったこともあり、どうやらキノコは豊作のようです。
高嶺の花に変わりはありませんが、あのマツタケも昨年に比べて3、4割は安いというニュースを耳にしました。
マツタケといえば、10数年前、名人級の知人に無理やり頼み込んで松茸狩りに連れていってもらったのを思い出します。
午前4時30分ごろに出発し、松茸山とおぼしきところに着いたのが夜明け寸前の5時30分ごろ。
松茸は毎年ほぼ同じところに生えてくるので、他人に知られたら絶対に荒らされる。
従ってどこにでるかは家族にも教えないとか。
個人所有の松茸山はすべて立ち入り禁止。
それ以外の山の松茸狩りは極めて熾烈な戦いになります。
足元がようやく見え始めるころには尾根筋にスタンバイ。
明るさが増すと同時に動き始めます。
見当をつけている名人の足運びは速い。
時折り立ち止まり、枯葉を動かしたりして確認。
ただし人影が視野に入った瞬間、全く違う方を向いている。
採った跡は完全に消しながら進んでいく。
たちまち10数本がカゴの中に入っていました。
自分はこの日ほんとうに偶然に2本見つけることができました。
大感激です。
この夜早速1本は松茸ご飯、もう1本は焼き松茸にしました。
店頭で売っている松茸との最大の違いは香りの強さ。
あの独特の香りが家中に拡がり、どこにいても松茸、松茸、松茸…。
最初で最後の経験ですが忘れることができません。
森林組合によっては何種類ものキノコを一緒に塩で漬け込んだものをミックスという商品にして販売しています。
これに鶏肉などを入れて作った蕎麦のつけ汁は野趣に富みなかなかなものです。
新蕎麦とともに2つの秋を一度に味わえます。
ぜひお試しになってはいかがでしょうか。