1日中冷凍庫のような寒気の中に閉じ込められ、深々と降り続く雪。
明け方の暗闇の中、チェーンの音を響かせて除雪車が行き交う。
数年前までの大寒の山形といえば、こんな感じではなかったでしょうか。
それが一転、山形市街地に関していえば「雪国山形」の「雪国」を返上してもいいのではないかとさえ思えてきます。
昨年の1月は2020年以来の少なさでした。
最高に積もったのが、25日の20㌢で、月の半分は観測値なしだったのですから。
今年は昨年より若干多いものの、最高が11日の30㌢。
9日に26㌢降った雪に10日、11日に降った分が上積みされました。
その雪がしばらく残っていたので、記録上は雪が積もっている日が多いように見えますが、市街地ではあっという間に姿を消し、市民が目にするのは、屋根から落ちて積み上がった雪や、大規模駐車場で除雪した雪の山くらいでしょう。
最高気温がマイナスになる真冬日がないのも消雪の後押しをしているようです。
市街地周辺の田んぼでは切り株が見えてきています。
20日過ぎに郊外を車で走っていたら、田んぼの中で何やら妙な動きが。
一瞬、風で雪が舞い上がっているのかと思いましたが、目を凝らしたら白鳥の群れが餌を啄んでいたのです。
雪で一面が閉ざされていた数年前の1月では全く想像できなかった光景です。
10羽強と5、6羽の2グループで、黒っぽい羽根の幼鳥も混じっていました。
この様子なら北帰行もぐんと早まるのかもしれません。
年齢を重ねるごとに体力が衰え、除排雪作業をきついと感じるようになった身にとって、小雪の冬は有り難い限りです。
しかしこれが地球温暖化がもたらす異常気象によるものであれば、手放しで喜ぶわけにはいきません。
昨年秋以来の野菜の高騰が年を越しても続いています。
大きな要因は昨年夏から秋にかけての高温でした。
家庭の食卓を直撃しているこの問題は深刻です。
昨年の初夏の高温では山形県を代表するサクランボも大変な被害に見舞われました。
気温が高いので熟成のスピードが速まり、適期収穫が思うようにできなかったのです。
天童市で促成栽培されたサクランボ佐藤錦の初競りが今月5日に東京の大田市場と天童市青果物市場で行われました。
500㌘入り1箱にそれぞれ150万円の値がついたということです。
1箱に68粒入っており、1粒2万2千円ほどに。
こんな高級な1粒がいったい誰の口に、といったことはともかく、この値段は資材高騰や気象災害で厳しい状況にある生産地を応援するためにつけられたのだとか。
こうした気持ちがぜひ天に届き、穏やかな1年になってほしいと願っております。
(2025/01/31 辻蕎麦HP)