【文芸】高宮麻綾の退職願

高宮麻綾の退職願の表紙

本書はデビューして一年足らずの作家によるシリーズ2作目です。
ここから読み始めても楽しめますが、主人公のキャラクターだけでなく人間関係について理解していたほうが楽しめるので前作から読むのをオススメいたします。
主人公像もさることながら、会社員小説とミステリーの融合が大きな魅力です。
高宮は我が身に降り掛かる様々な理不尽に加え、親会社の顔色ばかりうかがう上司や自分のようには仕事に打ち込まない人間たちに憤りながら、頑なに自分の仕事を諦めない。
そこに、伏線の妙とスリリングなクライマックス、数々の謎が解き明かされるサプライズが展開され、組織に属して働くことの意義が清々しい熱とともに示されています。
会社員の面白さが詰まった作品です。

城戸川りょう:著
文藝春秋:発行
定価:1 760円(税込)

(情報提供:(株) 八文字屋