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2024年 4月~5月号 辻蕎麦便り

2月に早々と春が来たと思ったら、3月には冬に戻ったような日々。
多分、3月の気温として低過ぎるということはなかったのでしょうが、一度暖かさに慣れた体にはより厳しく感じられました。
ものごとには順番があるのだから、それらしくやって来てくれないと。
うっかりひいてしまった風邪もようやく快方に向かったと思った瞬間に、大きく転換した気温に合わせて再び悪化の道へ。
4月に入り暖かさが続けば完治するのではと期待したのですが、今度は早春と真夏の繰り返し。
最高気温が15℃前後の日々が続いたと思ったら、いきなり夏日に。
そうこうするうちに真夏日の天気予報も出てくるし、この先どうなるんでしょうね。
年間で一番爽やかな風薫る5月はこれからなんですよ。

3月の気温の足踏みで、昨年史上最も早かった桜の開花は元に戻りました。
山形市では7日にソメイヨシノの開花宣言が出されましたが、平年より6日早く、昨年より7日遅いということでした。
この後、花冷えなども絡み、花は長持ちし、しかも比較的天気に恵まれた日々が続いたために、お花見には最適な環境になりました。

何年ぶりですかね、こんなにお花見を堪能したのは。
夫婦だけで、それに孫たちを誘ってと、約1500本のソメイヨシノが咲き誇る山形市の霞城公園に何度も足を運びました。
元山形城址の霞城公園。
土手にそびえたつソメイヨシノの大木から重さで折れないかと心配するほどまでに盛り上がる花の房がお堀の水面すれすれに垂れ下がるさまは圧巻です。
山形城といってもなじみのある人は多くないでしょうが、実は全国で5番目の規模を誇るお城なのです。
ちなみに山形より大きいお城は江戸城、大阪城、小田原城、名古屋城ですって。
名城に肩を並べていたのですね。
往時のまま残っていたら、どんな景色になっているのでしょうか。

開花宣言から数日して訪れた時は驚きのあまり唖然としてしまいました。
平日の昼下がり。
山形のどこにこんなに人がいたの、と言いたくなるほどの人の波が。
東京の上野のお山には及びませんが、この時間のこの山形でこの賑わいぶり、なぜ?そして日曜日の昼過ぎはより上野のお山に近づいた感じに。
ずらりと並んだ売店で、花より団子の団子は「本日分売り切れ」の張り紙だけ、焼きそばのコーナーは行列の最後尾が見えないほど。
明るいうちに食べられるのかと、他人事ながら心配になるほどに。
玉コンニャクや、唐揚げ、うどんなど他の食べ物の前にも行列が。
周囲からは中国語に混じって、ヨーロッパ系の言葉も耳に入ってきました。
好天に誘われて山形市内外の人々も例年になく多かったようですが、それに海外組も加わったのが賑わいの要因だったようです。
霞城公園のお花見が国際的になり、多くの外国の人々と一緒に楽しめるというのはワクワクしますね。

桜花爛漫の候を存分に楽しみ、畑の水分が抜けないので耕しにくいことを言い訳に菜園から遠ざかっていたら、あっという間に日にちが過ぎました。
桜が咲いたらジャガイモの植え付け適期。
慌てて作業を始め、桜の花びら数枚が残っている間になんとか植え付けを終えました。
下旬に入り高温続きで雑草が急成長しほぼ草原状態に。
異常気象云々はいったん脇に置き、気力を振り絞ってまずは播種作業をしなければ。
種を蒔かなきゃ何も出てきませんからね。

(2024/04/30 辻蕎麦HP)

2024年 3月~4月号 辻蕎麦便り

弥生。

雪国山形とは思えない暖かな2月中旬を過ぎたころから、いきなり季節が逆戻りしました。
いつになったら前に進むのかとイライラしながら待っていましたが、なかなか動きません。
いくら異常気象だからといって、春を飛ばして一気に初夏になるなんてことはないだろうなと思っていましたが、25日ころからようやく歩み始めました。
それにしても日々の気温の落差が激しいのには参ります。

暖冬小雪の冬もようやく幕を閉じようとしていますが、振り返りますと異変がいっぱいです。
その中で印象が強かったのが白鳥の北帰行。
例年、3月になり白い世界に稲の切り株が顔を出すと、ほどなくして山形や天童の西側の田んぼに数百羽の白鳥の群れが飛来。
優雅な姿や仕草とはかけ離れた「ギャー、ギャー」というけたたましい鳴き声をまき散らしながら落ち穂を啄ばんでいます。
田んぼの雪融けと共に北上し、この時期の風物詩になっています。

しかし今冬は1羽も目にすることなく終わりました。
もっとも連日観察している訳ではありませんし、見逃していた可能性もありますが。
あれだけの白鳥さんたちはいったいどこで越冬していたんでしょうね。
そういえば、そろそろ北帰行のニュースが流れても良いころなのにとネットで調べたところ、例年より3週間余りも早く2月中旬に庄内各地から羽ばたいていました。
彼らの一大拠点である酒田市の最上川河口などを足場に庄内平野だけでシベリア行のエネルギーを蓄えることができたので、内陸までやって来なかったということでしょうか。
それにしても、毎年、2月から3月にかけての風物詩として心待ちにしている身には寂しいシーズンでした。

わがささやかな菜園からフキノトウを摘み、フキ味噌にして早春の香りと味を楽しみました。
といっても今月の話ではなく、2月17日のことです。
やや小ぶりでしたが、10個ほどのフキノトウが頭を持ち上げていたのです。
いつもならこの時期の畑は雪に閉ざされて、白以外の色を見ることはできません。
異常気象の思いがけないプレゼントに喜びましたが、なぜかそれだけでした。
いつもなら後続部隊がやってくるのですが、全く音沙汰がありません。
まさか春本番になっても、あれだけで終わりなんてことはないでしょうね。

全国でも有数の豪雪地の月山スキー場に通じる県道の除雪作業が11日から始まりました。
スキー場は4月12日のオープンを目指し、6台の除雪車などが急ピッチで作業をしています。
周辺の積雪は約6㍍で、例年より2㍍ほど少ないということです。
雪の多い年は7月、8月の猛暑でも雪渓で雪遊びが出来ますが、果たして今年はどうなっているのでしょうか。

(2024/03/30 辻蕎麦便り)