皐月。
白から緑に衣替えする周囲の山並みを見ておりますと、気温の乱高下を繰り返しながらも季節は確実に移ろうものだということを感じさせてくれます。
つい先日まで1日の温度差が15度を超えることもありました。
春先と真夏を24時間の中で体験するわけですから、年配者ならずとも体調維持は容易でありません。
暑ければ暑いなりに、寒ければ寒いなりに対処の方法というものはありますが、寒暖がこれだけ短時間で交互にやって来るのでは、なかなかと大変です。
数年前に「雪もみじ」を取り上げたことがあります。
全山燃えるがごとくという紅葉は秋の景色ですが、「雪もみじ」は高山の残雪と新緑が重なる5月がシーズンなのです。
陽光が強まり、ブナの木々が芽吹き始めると、冬芽を包んでいた赤茶色の芽鱗(がりん)が剥がれ落ちます。
真っ白な雪の上に無数の芽鱗が散りばめられた光景はまさに紅葉のようです。
ブナが吸い上げる水からの放射熱などで融雪し、木々の根元に丸くぽっかり穴ができたようになる根開きの現象なども加わり、実に面白い情景をつくりだしています。
山形県のど真ん中にある月山はブナ林の宝庫。
5月の中旬になれば見ることができるのですが、「近くなのでいつでも行ける」が仇になり、ことしも実現しませんでした。
上の文章は写真を参考に書きましたが、来年こそは万障繰り合わせて足を運び、体全体で感じたものをお伝えしたいと思っています。
タマネギ栽培2題で自然の不思議さ、面白さを目の前で味わっています。
山形のタマネギ栽培は、8月に畑や苗箱などに種を蒔き、ある程度の大きさになったら10月中旬ころ畑に定植。
雪の下で3、4カ月間過ごし、雪解け後に急速に成長し6月に収穫します。
昨年8月、30㌢×40㌢ほどの発泡スチールの箱に種を蒔きましたが、なぜか全く発芽しませんでした。
慌てて畑に蒔いたものが発芽し、ほっとしたものです。
ことし4月に、全く変化のなかった発泡スチロールから緑の糸のようなものが次々に出てきました。
関心をはらっていなかったので、途中で気付いたのですが、まぎれもなくタマネギの芽。
どうして今ころ、と疑問符がたくさんつきまといましたが、水やりを欠かさず丁寧に育てたところ丈が20㌢を超えるまでに。
畑に定植できるまでに生育したのです。
季節が大幅にずれているが、果たしてどうなることやら。
もう1つ。昨年収穫した中で直径3、4㌢と小さ過ぎて使いものにならず台所に放っておいたら10個ほどが芽を出したのです。
畑に戻したら大きくなるかも、と極めて単純な発想で昨年11月に小さな畝を造り植えてみました。
春になり暖かくなったら急成長し、一般のタマネギより元気に育っています。
2年もかかって育った味はどんなものか。
果たして美味しいのか、美味しくないのか、やたら辛かったりしてとか。
妄想を膨らますだけで実に楽しい。