長月。
リオ五輪のメダルラッシュで日本列島が連日興奮の渦に巻き込まれていたせいでもないでしょうが、ことしの夏は例年になく暑かったように思います。
おまけに台風が相次いで発生。11号が最初にやってきて、次に9号、そして10号と、発生時期と来襲時期がまったくばらばら。
日本列島の上空はどうなっているんだろうと思っていたら、10号が観測史上初となる東北への直接上陸を果たしただけなく、各地に甚大な被害をもたらしました。収穫間近な果樹農家などはうらめしげに空をながめながら防止策を施していましたが、山形県はさほどの被害もなく済みました。
台風はともかく、田んぼを吹き渡って来る風の柔らかさは例えようもありません。
これは田舎暮らしと都会暮らしをして初めて気付くのではないかと思います。
田舎暮らしだけだと、毎日のことで慣れっこになってしまい、「きょうは少し風があって気持ちがいいな」で終わってしまいます。
田んぼのない都会暮らしでは分かりようもありません。
真夏にビル街の暮らしから田舎に戻る際、列車の車窓から稔り始めた穂をかすかに揺らしながら流れる風が緑色に染まっているように見えるときがあります。
実際、田舎道で肌に触れるこの「緑の風」の心地良さは格別です。
9月に入り、「緑の風」に替わって「白い風」が吹くようになりました。
ご存知のように蕎麦の花です。
真っ青な空に下で果てしなく続くソバ畑を見ていますと、大きなうねりの真っただ中にいるような気がします。
山形県の蕎麦の作付面積はことしも増えたような感じです。
耕作放棄地だったところがソバ畑になっているところもあり、こうした光景を見ていると思わず嬉しくなります。
本格的な新蕎麦の季節も間もなくです。
毎年、この季節になると、辻蕎麦の本質はとか、他の蕎麦にはない特長はなにかなどが浮かんでまいります。
風味などというものは、言葉で表現するのはなかなか難しいものです。
ただ蕎麦本来の甘みとかコクなどは普通の人でも味わい感じ取れます。
辻蕎麦主人が40年近く研鑽を積み、より多くの人が本当に美味しいと感じ取れる蕎麦粉を開発しましたが、これが辻蕎麦最大の特長だといえます。
他の蕎麦と食べ比べてもらえれば、その違いは歴然です。
他では真似のできない蕎麦粉に辿り着き、それを最も美味しい状態に仕上げて、味の違いの分かるお客様に提供する、これが辻蕎麦です。
本当に美味しい蕎麦がより美味しくなる季節がやってまいります。
ぜひ期待してお待ちください。