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2022年 5月~6月号 辻蕎麦便り

皐月。

山形市周辺で家庭菜園を手掛けている人たちにとって、4月下旬から5月中旬にかけてが「農繁期」のピークです。
ホームセンターや種苗店では、駐車場の一部まで売り場に変身。
キュウリ、ナス、トマトなど一般的な野菜から全く目にしたことの無い珍しいものまで数え切りない種類の苗が所狭しと並べられています。
大型連休中などは都会の通勤ラッシュ時のホーム並み。
身動きもままならない中で目当ての苗を片っ端から段ボールの箱に入れてはコーナーを移動。
レジの前も大行列です。
自分もその一員なのにかかわらず、ふと端の方からながめるとそのエネルギーに圧倒されそうです。
みんな立派や野菜の収穫を夢見て植え付け作業をするのでしょうね。

それに水を差すつもりはありませんが、異常気象が平年並みになるような昨今の天気ですから、果たしてどうなることやら。
4月末から連休明けにかけての気温はまさにジェットコースター並みでした。
1日の最低最高の気温差が20度前後、最高気温が真夏日に近い日が数日続く。
その後はいきなり15度未満に下がるなど、服装や暖房器具で調整できる人間でさえ体調がおかしくなるのに、動けない野菜たちが心配です。
この先一気に高温になったらそこで成長がストップする種類もあるのですから。

家庭菜園では苗を購入するだけでなく、種を蒔いて育てる野菜も結構あります。
それぞれの野菜によって発芽に適した気温があり、ポットの培養土や畑に蒔きさえすれば芽を出すものでもありません。
わが家でも、4月に播種した野菜の発芽率が悪く、早々に蒔き直しました。
気温に適応できないうちに種そのものがダメになってしまったようです。
菜園周辺で聞いてみましたが、多くの人たちが苦労しているようです。

そんな時にタマネギ高騰のニュースを耳にしました。
大生産地である北海道で、昨年夏に高温により大きな被害が出て不足していたところに、年明け後に出荷を見込んでいた九州産にも被害が出たのが原因のようです。
その上、新型コロナ対策で上海港が機能しないため中国産の輸入がままならない。
タマネギ1個が200円とか300円といった話を聞くとホントかいなと耳を疑いますが、消費者にしてみれば怒りあきらめが交差するかもしれません。

昨年はジャガイモの種芋が不足し、早々に店頭から姿を消しましたが、ことしはサツマイモの苗が極端に不足しているようです。
今度の入荷はこの日とこの日ですという張り紙を目にしましたが、開店早々にでも行かない限り入手できなかったようです。
瘦せ地でも十分育ち、長い歴史の中で幾多の日本人を飢餓から救ってきたサツマイモ。
それさえ影響を受けるようでは、この先の日本の食料はどうなってしまうのか。
ちょっと柄にもないことを考えてしまいました。

(2022/05/30)

2022年 4月~5月号 辻蕎麦便り

赤、白、黄色、紫など色鮮やかに咲き誇る庭のチューリップたちが一夜にして白銀と混じり合い、強い朝日を受けて晴れ渡った青空に浮かぶさまはまさに一幅の絵画です。
立夏を目前にまさか冬に逆戻りするとは。
30日未明に降り出した雪は夜明けとともに止みましたが、種々の花々が妍を競う季節にそぐわない世界を出現させました。
前日の昼過ぎころから急激に気温が下がり、やたら寒かったのですが、この光景をみていると納得させられます。
天気予報では黒い雲に小さい雪だるまが添えられていました。
降雪は山間部のことと勝手に思い込んでいたので、まさか平地でもこうなるとは。

11日に待ちに待った桜の開花宣言がありました。
今冬は例年にない豪雪に見舞われ、1日も早い華やぎの世界の訪れを願っていただけに開花宣言は嬉しさとともにどこかほっとしたものがありました。
このころから気温が乱高下し、最高気温が夏日の26℃になる日もあれば、いきなり10℃と急降下。
開花を宣言された桜もさぞびっくりしたことでしょう。
あっという間に満開になり「重くないですか」と思わず声を掛けたくなるほど多くの花をつけたのはいいが、あまりの寒さにもう一度蕾に戻ったほうがいいのではと身を、いや樹を震わしているのではないかと可哀そうになるほどでした。

そんな中、16、17日に天童市の舞鶴山公園では恒例の「人間将棋」が行われました。
数年前にも紹介しましたが、これを作り上げたのは辻蕎麦代表・輝彦の父・故勇蔵です。
天童は日本一の将棋の駒の生産地。花見時の観光資源にと当時観光協会長をしていた勇蔵が考え、1956年から始めました。
プロ棋士同士が対局し、一手指す度に広場に設けた巨大将棋盤の上で鎧甲冑を身にまとった若者たちが大きな駒を縦横に持ち運びます。

ことしは会場の広場を取り囲む桜並木が満開になり、しかも見事に晴れ渡る絶好の環境の中で行われました。
コンデションも良かったのですが、70年近い歴史の中でかつてないほどの盛り上がりをみせたのです。
実は17日の対局者の1人が将棋界のスーパースター藤井聡太5冠だったのです。
実行委員会では新型コロナ対策として、観覧者の定員を660人に限定し事前募集しましたが、なんと全国から11,714人もの応募がありました。
18倍弱の高い競争率で、そのフィーバーぶりに関係者は大興奮。
天童温泉の各旅館やホテルはほぼ満杯状態だったとか。
観覧者は将棋ファンだけでなく、「藤井ファン」が結構多かったようで、これをきっかけに天童、山形の魅力を知ってもらえればと期待を強めていました。
イベントの創始者もさぞ喜んでいることでしょう。

わがささやかな菜園もようやく動き出しました。
白菜の茎立ちやニラ、アスパラなど旬の味を楽しめるようになってきています。
いろいろな野菜の播種や苗の定植作業などが引きも切らず待っています。
遅れないようにしなければ。
(2022/04/30)