新年、伝統の継承と「和菓子をちょっと自由に」の共存にチャレンジし続けます佐藤屋。

明けましておめでとうございます。皆様、お正月をどのようにお過ごしでしょうか?
ゆったりとお休みをされた方も多いでしょうか?
私たち菓子屋は、皆様がゆったり過ごされる時が繁忙期。お正月は2日の初売りから、雪が降ったりしましても、一所懸命に仕事をいたしておりました。

佐藤屋では年末に、山形経済新聞さんに掲載いただき、朝日新聞の地域版山形新聞さんには経済欄に掲載をいただいた「乃し梅~る」が話題となりまして、おいでをいただくお客様からも、ご好評をいただけたのが嬉しいニュースでございました。

乃し梅、懐かしい~とはおっしゃっていただけても、おみやげには何となく今風でないな~とお選びいただけなかった方が、駅などで手に取っていただけ、お手紙を書いていただいた感想など頂戴できますので、いつもと違った話題があって、店頭で盛り上がる事も多く、それもまた嬉しいことでございます!

山形、佐藤屋の郵便で送れる和菓子「乃し梅~る」

私八代目は、「乃し梅~る」に加えて、「たまゆら」や「りぶれ」など、一風変わった和菓子を作るイメージが強いかもしれません。
何せモットーが「和菓子をちょっと自由に」ですしね?!

とは言え、やはり老舗の和菓子屋の跡を継いだ訳でもあります。まして、お正月の菓子となりますと、新年にしか登場しない伝統的な手法で作る菓子を沢山に御用命いただきます。

特に、【お正月の菓子「花びら餅」の由来や何か、ご存知ですか?】と言う記事は、2014年に書かせていただきまして以来、タイトルでの検索で今でもかなりの方に読んでいただいている、当ブログの最も人気のある記事。

こういった、歴史のある菓子を昔ながらの作り方でお届けするのも、実は八代目の最も得意とすることの一つだったりします。

店売りでなく、ほぼご注文のみで承ります「花びら餅」のためのゴボウは、山形は天童の寺津の農家さんからいただき、泥を洗い、切りそろえて炊き、2日間かけて蜜漬をしていくことで、やっと菓子になる下ごしらえが出来上がります。

山形、佐藤屋の花びら餅の生地。

そして、餅粉と米粉を練り合わせて蒸した生地を、銅鍋で餅つきして仕上げて、薄くのしていき、丸型で抜いていき、落ち着くのを待って畳んでいく。

花びら餅の生地、畳む前のかさね方。

ゴボウも、細く切ったものを二本。もちろん味噌餡が入ります。
それぞれの仕事をぱっと書けば、写真が数枚で終わってしまいますが、分業の進んだ現在。
ゴボウも餅も専門に加工する業者さんが、それなりに良い質の物を、ちゃんと届けてくれます。
故に、流通する菓子は効率よく生産され、価格も安定してるのが事実。
ここの良し悪しは別で論じるとして、個人としては、全て自分のところで仕上げるのが好きなのです。

効率は悪いし、手間もかかる。数も作れないし(笑)
だけど、一貫して全ての工程を実行できる人が、分業に乗り出すのと、そもそも分業しか知らない人では、出来上がるものが違うと思う。
そして、一貫して伝統の技術を実行できる土台の上に出来上がる「ちょっと自由な」感覚の菓子ならきっと、「和菓子」っていうジャンルを楽しめるものにこそせよ、壊すことは無いと確信してたりします。

ふざけてるって思われても何しても、自らの現場から発信できる、自分なりの感覚を大事に、今年も振れ幅おっきく、やっていきますので、皆様宜しくお願いします!

山形初市での佐藤屋前の行列