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温泉めぐり・山形路TOP > 温泉のある風景 > 第5回 湯田川温泉 

山の麓の湯治場「湯田川温泉」の風景 筆者 : 天野 佳一
 山形県の日本海側にある庄内地方の温泉郷には、温海温泉、湯野浜温泉、湯田川温泉が古くから知られています。湯田川温泉は、大型温泉ホテルが並ぶ温海温泉、湯野浜温泉とは違い、金峰山の麓にある湯治場として栄えた温泉郷です。開湯1300年という伝統の中で、鶴岡の奥座敷として地元民に親しまれ、庄内藩政の時代には、藩主や美人の湯としてお姫様がお忍びで温泉を楽しんだという言い伝えがあります。
 湯田川温泉郷は、今も古くから伝わる庶民的な湯治場としての面影が残っています。華やいだ雰囲気はなく静かな佇まいの中で、道を挟んで肩を寄せ合うようにして並ぶ黒塀の宿や白壁の宿、少しだけ近代化を試みたような素朴な建造物の宿は、多くの文人からも愛されています。

 地元が生んだ歴史小説作家、藤沢周平を始め、種田山頭火、竹久夢二、柳田国男、横光利一など、萎びた情緒ある宿に逗留して構想を練り、執筆を重ねた足跡が残されています。
 湯田川温泉郷の奥は山の斜面を利用した梅林公園があります。湯田川地方特産の孟宗の竹林が広がり、敷地には約500本の梅の木が植えられ4月は花見客で賑わいます。6月には約200本の牡丹が鮮やかな花を咲かせ地元民に親しまれている憩いの公園です。

 地元が生んだ作家で湯田川温泉をこよなく愛した藤沢周平の珠玉の名作「花のあと」は、舞台を桜の名所「鶴岡公園」の華やかさと散り往く花のむなしさ、湯田川が秘める地味で密やかで重苦しさも漂う背景の中で、封建時代の女剣士が抱いた淡い初恋の悲劇を描いています。家柄・格式の壁に阻まれ、悲しい結末を生んだ哀切漂う湯治場での出来事は、藤沢周平が感じていた世間に対する不信やどうにもならない苛立ちかあったのかも知れません。

「花のあと」の一節に「水面にかぶさるようにのびているたっぷりした花に、傾いた日射しがさしかけている。その花を、水面にくだける反射光が裏側からも照らしているので、花は光の渦にもまれるように、まぶしく照りかがやいていた。豪奢で、豪奢がきわまってむしろはかなげにも見える眺めだった。」湯田川温泉を愛した藤沢周平らしい、深い憂いが漂う表現のような気が致します。
 湯田川温泉の楽しみは旬の香りと味覚が楽しめることです。春から初夏に掛けては名物の孟宗竹が生産され、地元特産の味噌で味付けした「孟宗汁」が人気です。孟宗料理は孟宗竹を素材にして作った色々な献立のほか、朝摘みのわらびやぜんまいなどの山菜に庄内浜で採れた旬の鯛・鱒などの魚介類が使われます。

 夏は鶴岡特産のだだちゃ豆に名産の民田ナス、アワビやサザエ・庄内ガキなどの海の幸。
 秋はキノコに鮭・ヒラメ、冬のドンガラ汁(寒鱈汁)は逸品です。青竹を切った器に地酒を注いで飲む「かっぽ酒」は、竹の香りが一段とお酒の旨さをひきだして旬の味覚を盛り上げています。
湯田川温泉街の風景
 今回は入口に流浪の詩人種田山頭火の句碑がある山頭火ゆかりの宿「ホテルみやご」を訪ねました。湯田川温泉は透き通った肌触りの良い温泉です。旬の香りと味覚に、人と人とのふれあいを感じる静かな情緒ある温泉宿でした。
湯田川温泉アクセス
【飛行機】 庄内空港より 車で約25分
【お車】 山形自動車道 鶴岡ICより 約15分
【電車】 JR羽越本線 鶴岡駅下車
湯田川温泉行きバス 終点下車(約30分)
タクシーで約15分
【DATA 2006.10.26】
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