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温泉めぐり・山形路TOP > 温泉のある風景 > 第8回 湯野浜温泉 

日本海に面した静かな環境の温泉郷「湯野浜温泉」 筆者 : 天野 佳一
 私たち夫婦は既に還暦を過ぎ、二人の子供もそれぞれ独立した。年を重ねると何故か旅をする時に東北を選ぶのは、東北特有の自然や歴史と文化に出会えることが出来るからだと思う。今回の旅の目的は二つある。素朴さと閑けさの中に育まれた優しい心根の人々が集う庄内地方で、ふれあいを大切にする情緒ある世界に浸ることである。そこで、日本海に面した静かな環境の温泉郷「湯野浜温泉」で、心身を癒すことにしたのである。

 もう一つは、映画で評判が高かった「たそがれ清兵衛」や「隠し剣 鬼の爪」。テレビで放映された「蝉しぐれ」や「三屋清左衛門残日録」などの著者で、庄内に生まれた故藤沢周平の故郷を訪ねることにある。小説の中で海坂藩のモデルになった、旧庄内藩の城下町鶴岡を散策し、藤沢周平の庄内地方に寄せていた想いや、戊辰戦争で敗れた庄内藩士が、新しい明治時代を迎える時に立ち上がった偉業を偲ぶことも、今回の目的の一つでもあった。
内川に架かる三雪橋と遥かに霧の金峰山 緑の蔦が這う大泉橋と内川
 湯野浜温泉は東京から上越新幹線に乗り、新潟で羽越本線に乗換えて鶴岡で下車する。
鶴岡駅から10分ほど歩くと内川に架かる大泉橋に着く。緑の蔦の這う大泉橋の袂には、奥の細道で松尾芭蕉が酒田に向かった船着場があり、藤沢周平の小説では海坂藩の出来事が登場する重要な舞台になっている。

 小説では内川を五間川と呼び、大泉橋は千鳥橋として登場している。内川を少し遡って行くと、朱色が鮮やかな三雪橋に着く。ここから見る、内川と三雪橋から遥か遠くに霧のかかった金峰山(きんぽうざん)の景観は、代表的な庄内地方の情緒ある風景である。 

 更に内川を遡ると古い歴史の流れを静かに伝える旧藩校致道館に着く。藤沢周平の名作「蝉しぐれ」では藩校三省館として登場する武家の男子が学んだ学校であり、今も荻生徂徠の教えが聞こえるような気がする。その旧藩校の近くに致道博物館がある。旧官舎や豪農の建築物を移築し、昔の農具や臼・木皿などの生活用具、船道具などが集められている。
 
 日本人と木の文化の関わりを物語る貴重な博物館であり、戊辰戦争後の西郷隆盛と交わした貴重な資料や、明治時代の人力車や服装などの生活様式を見ることが出来る。
旧藩校致道館 鶴岡公園二の丸付近から見た致道博物館
 致道博物館からは車を利用して、羽黒町にある松ケ岡開墾記念館を訪ねることにした。

 戊辰戦争で破れた庄内藩士3,000人が、刀を鍬に持ち替え荒地を開墾したのが松ケ岡である。開墾地に桑を植え、蚕室を10棟建築した。明治から大正にかけての日本の花形輸出産業は生糸であり、明治の黎明期における松ヶ岡蚕室の活躍は大なるものがあった。

 現在は松ケ岡開墾記念館など5棟が残っていて、幕末から明治にかけての開墾風景などの資料が展示されている。また、全国の郷土人形や土鈴3万点余りを集めた田中コレクションが圧巻である。松ケ岡開墾記念館の近くには、映画「たそがれ清兵衛」に次ぐ山田洋次監督の藤沢作品第二作「蝉しぐれ」のオープンセットがある。庄内柿畑が続く背景に霊峰月山の雄姿が望める素晴らしい景観の立地にあり見学者も多い。
松ケ岡開墾記念館=旧蚕室 「蝉しぐれ」のオープンセット
 夕方が近づいてくると、今回の目的である湯野浜海岸の夕陽を見る準備が必要である。
あらかじめ旅館に電話して、当日の日の入り時間を聞いておくと良い。日本海の地平線に夕陽が沈む光景に、人生を振返って感慨に耽るのが至福の時である。
日本海に沈む夕陽=湯野浜海岸  夕陽に映える湯野浜温泉郷と鳥海山の遠景
 夕食は庄内浜の魚介類が美味しい。タイ・カレイ・ヒラメ・ノドグロ・ソイ・イカ・アワビ・エイ・エビなどが名物である。夏は珍しい岩ガキがあり、冬はじょんがら汁(寒ダラ鍋)がある。春の山菜には、わらび・ぜんまい・こごみ・みず・あいこ・うるい・しどけなどがあり名物の月山竹がある。夏の名物はだだっちゃ豆(枝豆)と砂丘メロンである。秋はきのこ類やあけびが美味しい。

 透明な塩化物泉の温泉に浸かり、潮騒を聞きながら眠りについた、素晴らしい湯野浜温泉の旅であった。
湯の浜温泉アクセス
【飛行機】 庄内空港から タクシーで約10分
【電 車】 JR羽越本線 鶴岡駅下車
湯野浜温泉行きバス 終点下車(約50分)
タクシーで約25分
【DATA 2006.10.26】
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