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> ぷらっとフォーム > 地域挙げ支援、藤沢文学の映画化


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Mr.e-yama
photographed.




  湯田川神楽の滑稽な獅子舞や、赤川の川面に春の陽光がきらきらと反射していた鮎釣りの場面などが、今も鮮やかに思い出される時代劇の傑作「たそがれ清兵衛」。

 この名作を手がけた仕事師たちが再び集結して、藤沢周平原作、山田洋次監督の映画第二弾が制作される。メーンロケ地はもちろん山形県庄内地方、それが「隠し剣 鬼の爪」である。

 梅雨明けが遅く、八月に入っても、からっとした晴天に恵まれることのなかった平成十五年の遅い夏、松竹株式会社のプロデューサーから突然掛かってきた一本の電話によって、私と、この映画とのかかわりが始まった。
  
1977年法政大学卒業と同時に鶴岡市役所に就職。
人事課、下水道課、東京事務所勤務等を経て、2003年4月から現職。

1955年鶴岡市生まれ。

佐藤 茂
shigeru satou
鶴岡市観光物産課
(課長)
鶴岡市ホームページ
    http://www.city.tsuruoka.yamagata.jp/

 山田監督は当初、この時代劇第二作目を制作するにあたって「武家物=海坂藩を舞台とした作品」よりも、「江戸市井物」の映画化を第一に考えていたようであり、平成十五年の六月二十七日に、鶴岡市文化会館で開催された講演会の席上では、そのような内容のことを語っていたのである。 

 しかし、その後どのような紆余曲折があったのかは知るすべもないことなのだが、藤沢作品の映画化にあたっては、やはり庄内に流れる“風”を大事にしたいということなどから再び「海坂藩」を舞台とした作品が取り上げられたのである。

 映画「隠し剣 鬼の爪」は、藤沢周平作品の中でもエンターテイメント色が強いと言われる隠し剣シリーズから「隠し剣 鬼ノ爪」と下級武士や市井に生きる庶民の人情の世界を描いた短編集「時雨のあと」から「雪明かり」の二つの作品を題材として、山田監督と朝間義隆の両氏が大胆に脚本化したものである。

 今回の作品の底流には、やはり藤沢周平の精神が色濃く流れており、現代社会を投影した、前作をしのぐほどの上質な時代劇に仕上げられている。それと同時に、今度は、幕末の庄内という激烈な時代を生きる若者たちに光を当て、理想と現実の葛藤に悩みながらも懸命に生き抜こうとする様子を縦軸に据え、主人公と奉公に来た娘との身分を越えた、せつなくも優しい愛が横軸に織り込まれている。
  「隠し剣 鬼の爪」が映画化されるにあたっては、松竹株式会社と山田組スタッフの方々が、平成十五年の八月末頃から撮影直前の平成十六年の三月末まで、毎月のように現地庄内を訪れ、ロケハン(映画の撮影地を選ぶための調査)が続けられた。この間山田監督も、数回にわたり鶴岡市及び羽黒町、櫛引町、朝日村などの庄内地方一帯を、調査のために訪れている。

 また、主人公片桐宗蔵役を演ずる永瀬正敏さんと、宗蔵の同僚島田左門役の吉岡秀隆さんのお二人も、庄内弁の雰囲気や鶴岡市の歴史と自然を感じ取るためということから、最も寒さが厳しく吹雪の日が続いた今年の一月下旬に、鶴岡市の致道博物館等を訪問している。

 この時に、「降ってくる雪に立ち向かうかのように、歴史の本流に逆らって生きた庄内藩士」という話を永瀬さんが聞き、大きな感銘を受けたことを、四月に行なわれた記者会見の場で披露している。
 こうしたロケハンと併行して、鶴岡市としても、ロケ支援実行委員会の立ち上げに向けて準備を進めていた。
 このロケ支援実行委員会とは、最近、全国的に設立が目立つようになってきた「フィルムコミッション」とほぼ同様に、映画を制作するための支援活動を行なう組織であり、映画制作に伴う各種許認可申請の代行、地元エキストラの確保、前売り券のあっ旋、それと映画制作に関する一定額の財政支援なども重要な目的と位置付けているものである。

 今年の三月十九日に設立されたロケ支援実行委員会には、県や鶴岡市をはじめとした自治体だけではなく、芸術文化協会や商工会議所、農協、ハイヤー協議会、庄内交通株式会社、各ロータリークラブなど、民間企業も含めた各種団体からも参加していただき、地域全体でこの映画を支援する体制を築いたところである。
 こうした経過の後、いよいよ四月二日、山田監督や制作スタッフ、主演の永瀬さんを皮切りに、共演の吉岡さん、小澤征悦さん、高島礼子さん、田畑智子さんなどの役者さんたちも次々に来鶴し、四月十八日までの長期ロケに入ったのである。

 途中、九日に開催された記者会見や、毎日のように行なわれた取材などの様子は、各新聞紙上やテレビなどで詳しく紹介されていたので省略させていただくが、初日の三日を除き天候にも恵まれ、ロケは順調に行なわれた。

 この庄内ロケ期間中の楽しいエピソードとして、一つご紹介したいのは、その日の撮影が終了した十二日の夜に、山田監督、永瀬さん、制作スタッフ、それに今回も方言指導で協力していただいた山崎誠助先生や富塚市長も加わり、荘内神社南側の公園内にブルーシートを敷いて急きょ、満開の桜の下、「花見」を行なったことである。

 庄内ロケを終え、四月十八日に帰京する際の山田監督は、すっかり日焼けした顔とともに、さすがに疲れた様子だったが、同時に存分に庄内ロケをこなせたといった満足感も、ことばの端はしにうかがえた。

 「隠し剣 鬼の爪」は、もちろん松竹株式会社が中心となって制作するものではあるが、同時にロケ支援実行委員会を構成する組織・団体、報道機関、庄内ロケにかかわられたお寺や集落の関係者、快く出演していただいたエキストラの皆さんや地域のさまざまな方々から支えられ、助けられてこそ成功するものだろうと思っている。

 冬の二月に、京都の太秦のセットで始まった撮影は、五月十六日に太秦ですべてが終わり、今年の十月末頃から公開の予定とされているところである。これから公開されるまで、試写会、前売り券の販売、先行上映会と、まだまだ長い道のりが続くものと思う。

 ロケ支援実行委員会としても、この映画の公開を心待ちにされている方々の期待に背かないよう、精いっぱい頑張るつもりであるし、前作以上に多くの皆様からこの映画を見ていただき、その結果としてますます藤沢周平ファンが増え、庄内・鶴岡を訪れていただける方々の増加につながってくれれば、本当にありがたいことだと思っている。

 【出典:「Future SIGHT25号」(2004年夏 発行)】

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