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Mr.e-yama
photographed.





 そろそろ春休みシーズンを迎えるが、正直なところ今年1年もまた厳しい経営を迫られそうで内心穏やかではない。ここ4、5年は他の多くの企業と同様に、入館者の低迷と売上減が続き、谷間に張った細いロープの危うい綱渡りのような経営を強いられてきた。そんな中で幸いというか、赤字を出さずにこれたのは、努力の結果と言いたい所ではあるが、本当のところは、多分に県内唯一という独占企業的な立場に助けられたせいと感謝している。

 現在の加茂水族館がオープンしたのは、もうはるか遠い昔となってしまった昭和39年のことである。当時加茂水族館は第1次の水族館ブームに乗る形で建てられたので一応近代的な水族館として話題を呼び、毎年20万人以上も、お客様が来てくれる、そんな状態が7〜8年も続いていた。自家用車がほとんど普及しておらず、水族館に行くには汽車とバスを乗り継がなければならなかったあの時代の20万人だから、今よりは相当価値のある数字である。

庄内浜加茂水族館館長
羽黒町大字野荒町字北田5
昭和14年11月26日生まれ

昭和42年加茂水族館館長に就任。主な著書に「山形の魚類たち」、「思い出語り雑魚しめ」「思い出語リイワナ釣り三昧」等。

村上 龍男
tatsuo murakami
庄内浜加茂水族館
tatsuo
 murakami
 当時”水族館の寿命”は20年と言われていた。オープンして20年たった頃に、旧式となって建て替えられたり、近くに別の水族館が出来て廃業に追い込まれたり、およそ20年経つと使命を果たし終えると言うのである。加茂水族飽は平成12年4月で満36年を迎えるので、その計算でいくと、もう随分昔に使命が終わっていることになる。


 回りを見渡せば、今第3次の水族館ブームとかで、昔と違い巨大な水族館の建設が続いている。東京都江戸川区の葛西臨海水族園、横浜市の八景島シーパラダイス、名古屋市の名古屋港水族館、大阪市の海遊館、三重県鳥羽市の鳥羽水族館、鹿児島市の鹿児島水族館と日本を代表するような、それどころか5,000トンを超える巨大水槽を持つ世界的規模の立派な水族館があちこちに出来ている。しかもこれで終わった訳ではなく、今年の7月には福島県小名浜市にも総工費160億をかけた水族館が、来春3月頃には茨城県大洗市に同じ工費をかけた水族館がオープンする。

 現在、日本動物園水族館協会に加盟している水族館は65館あるので、加盟申請している数館を含めると70館に達するのも時間の問題であろう。いくら魚好きの国民性と言っても、この狭い国土に70の数は多すぎると思う。これ程多くなれば当然お客の取り合いになり、加茂水族館がオープンした当時のように、7、8年も高い集客率を維持するということは不可能である。オープンしたその年は近郷近在を含め大変な入館者でごった返す賑わいをみせる。しかし、それが長くは続かないのである。前述の葛西臨海水族園の例をあげると、オープン初年度377万人を数えた入館者が7年後には220万人、横浜の八景島シーパラダイスは、初年度に402万人だったものが3年後には349万人まで減ってしまっている。

 最近の水族館の方向は大きな水槽を備えて、巨大な魚、ジンベイザメやマンタ、マグロを泳がせる等して話題を呼んで増客に結びつけているのであるが、その方向も限界が見えてきたと言うべきであろう。私は常々巨大な水族館は、狭い日本にはせいぜい2つ位で良いのではないかと思っている。地方が中央に対抗して大きさを競うというのは本来の使命に反しているのではないか、地方には地方の在り方があるはずで、その土地ならではの内容を持つことにこそ、競い合うべきと思う。
 本来の在り方に反する形でその傾向が特に強く表れているのが公設の水族館である。前にあげた8つの水族館の中で民営は鳥羽水族館と八景島シーパラダイスだけで、後はすべて公設の水族館である。過剰の一方で公設が民営を圧迫するという図式ができている。このところ日本各地で櫛の歯が抜けていくように、閉館に追い込まれる水族館が目立っているが、これもすべて民営の水族館である。会議等では、民営の水族館が寄り集まって「困ったものだ、官が民を圧迫している」 という口説き話が出されることになる。 

 私はこの頃つくづく日本はおかしな国だと感じる。民間の人たちが汗を流して営々と築いてきた色々な業種に公が参入し、施設の建設費等すべてを負担し、固定資産税も払わず、おまけに赤字続きでも営業をしている。そんな例は私たちの回りにも探すまでもなくあちらこちらにある。県内各市町村が掘った温泉であり、また一方では道の駅と称するドライブインであったりする。こういった職種はずっと以前より民間に定着した仕事である。
 公の業種が、「赤字だとか、大はやりだ」とか言っているその影で、自分のカで借金を背負って税金を払いながら立派に経営をしてきた人たちが泣いているのである。民間できちんと経営している職業には、公が手を出さないで戴きたいと思う。公のすべき仕事は赤字と分かっていても、地域の人々のために必要と思われるもの、例えば美術館とか、博物館とか、図書館であるとかその他いろいろあるが、そういったものに限定すべきであろう。
 愚痴が出始まるとキリがないが、口説き話はその位にして、私はこの不況もある意味で感謝している。人間追い込まれると真剣にならざるを得ないのだ。 船上からクラゲ採集 ブルージェリーフィッシュと子供

 限られた資金をいかに使えば次のお客様がまた来てくれるのか、いろいろな取り組みをしてきた。平成6年のラッコ展示もそうだった。1頭1,500万円もするラッコ2頭を購入し、ここにしては大金の3,000万円以上の投資をした。しかし、ラッコを展示した翌年にはお客様が大幅に減った。これには本当に困った。少なくとも3年は増客すると思ったのが、わずか1年しか持たなかったのである。そこで皆で考えて芸を教え、関東、東北で初めてのショーを開始し、これが今なかなかの好評を得ている。昨年から始めたクラゲの展示も、お客様の喜ぶ姿に励まされ、係りが努力した結果10種のクラゲ展示をするまでにこぎ着けた。現在日本一の水族館が11,2種の展示なので日本のトップにあと一息である。そういった努力の中で日本中のどの水族館も繁殖に失敗したスナイロクラゲの繁殖にも成功した。また今年は展示種類は日本一になれるという夢もある。ここ数年2.6%とわずかではあるが増客しているし、少しずつではあるがお客様が評価をしていてくれる。

 どっこい古い水族館は頑張っている。

【出典:「Future SIGHT8号」(2000年3月発行)】 *HP掲載用に加筆・訂正しました。

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