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photographed.


春夏秋冬の感動、郷土料理

 『春』――。何と言っても雪こもの中で萌える置賜地方の「雪菜」 だ。それの入った「冷や汁」や一夜漬けは正に初春の味。そして外はしんしん冷えているのに桶の「青菜漬」はべっこうの春色、季節の移ろいを語りかけ、「くきな煮」の煮物臭が漂い始める。
 日だまりにフキノトウを見つけたら迷わず汁物の吸口、その香は冬との決別!
 周りの山は山菜が芽吹き始め食卓をにぎわす。個性的な自然の味は、沈滞気味、冬型体(からだ)に活力を与え、輪廻転生、旬を確認させる。
 日本一のブナ天然林面積を持ち、落葉腐葉土の土壌で育つ山形の山菜のうまさは格別。春の惣菜料理として食卓を独占し、同時に冬の保存食、はたまた飢饉にそなえる救荒食品でもあった。この家庭惣菜料理が出羽三山をはじめとする山岳仏教、山岳信仰の影響により「集客料理」へと昇華し、山菜王国山形の土壌を作りあげた。
 また、春告魚 (はるつげうお) として唯一の内陸鮮魚「カド」(鰊)は、最上川の舟文化により内陸地方に運ばれ、新庄地方春一番のカド焼き行事となった。
 『夏』――。あの真っ赤なすサクランボは多くの人を魅了し、ミョウガの花を待ちこがれ、「だし」を刻む音が聞こえる。高温多湿、この盆地の入梅風土が生みだした先人の智恵の結晶だ。
 夏祭も終盤を迎える頃、庄内は鶴岡「だだちゃ豆」が出番を待っている。
山形中央クッキングスクール校長。山形市あこや町3−3−20.1925年6月3日生まれ。
昭和27年「土曜料理研究会」を発足。昭和45年各種学校山形中央クッキングスクールとなる。

古田 久子
hisako huruta
山形中央クッキングスクール
(校長)
昭和59年西洋割烹懐石「久味膳」付帯事業として開店。山形県料理学校協会会長、全国料理学校協会監事、山形市女性団体連路協議会会長、山形市教育委員(2期)。
NHKテレビレギュラー出演、他等。著書として、「日本の郷土料理」(共著)、「古田久子のお魚料理」、「古円久子の酒粕料理」、「ひさことひろこの食育cookbook」、「山形県郷土村理探訪」(監修)など。他、食文化エッセイ多数。
hisako
 huruta
 『秋』――。九月の声と共に、村山地方はいも煮一色となる。農耕神事からとも最上川舟文化からとも起源は諸説にみちているが、三百有余年の歴史の流れの中で、今日的「日本一大鍋いも煮会」として、秋の一大観光事業に育てあげた官・民のパートナーシップは未来に伝えたい伝統食のあり方のひとつでもあろう。
 秋もたけなわ、黄金波打つ里は果物王国、アケビ、キノコ、新そばが食事を彩り、白桃色の菊「モッテノホカ」が晩秋を告げる……。そして山形の女たちは「菜漬けの節」を迎える。青菜、白菜、大根、おみ漬け、これらを漬け終えて雪を待つ。だが、住宅構造、生活習慣、食生活の変化は「工場漬け」のウェイトを高めている。
 『冬』――。納豆汁、どんがら汁が美味しくなり、正月も間近だ。
 このはか、通年として、そば、川魚、鯉、玉こんにゃく、牛匠の手による牛肉等、山形の伝統食は多彩だ。
 山形県は最上川を母なる川として、置賜、村山、最上、庄内の四ブロックからなり、独特の食・風土の文化を持ち、その中心は米である。従って、いつの時代も人々は飢饉に備える救荒食品、保存食を考えた。身近な何でもないものでも、自然の恵みとして食素材となる。例えば「ヒョウの煮物」(学名スベリヒユ。畑の雑草ナンバーワン)、暑い八月にこれを摘み、茹でて天日乾燥する。その問エルゴステリンが生成され、体内で骨がカルシウムを吸収するときの必要成分ビタミンDとなる。日照時間の短い冬場の食べ物として的を得ている。さらに、「今年はひょっとして良い事あるように!」 と附加価値までつけて、あの雑草を正月の行事食までのし上げたたくましさと優しさ・・・・・・。
 このように、健康で生きたい願望の結晶ともいえる料理は、命の叫びとも受けとれる。その伝承料理が郷土料理であるならば、現代に生きる私たちが、故事来歴を究め、日常食に取り入れ、共通の想いを共有する土壌をつくらなければ、他県人を山形の食のとりこにする事はできない・・・・・・。
 『食は世につれ』――。また、ものには二面性がある。反対の立場から同じものを見てみよう。
 「だし」と「くきな煮」の過去、現在、未来を考えてみたい。料理学校の生徒二十名に聞いてみた。「だし」を食べたことのある人・・・・・・。半数の十名は家で食べた。五名は知っているけれども家で作らない。残りの五名は全く知らないという結果だった。
 若い男子グループ十名に「くきな煮」について聞いてみた。半分の五名は、家で作るが食べたくない。残りの五名は、酒の肴によし、ご飯のおかずに最高組。山菜料理に関しても同様な結果であった。
 この事実は、山形の郷土料理、それは主役と言うよりわき役的存在、だいいち作るのにひと手間多くかかるし、核家族が多くなり食の「語り部」がいない。食生活、生活習慣の変化・・・・・・。伝承料理が家で作りにくい現状の表れか。とすれば、「郷土料理は家庭から離れ観光料理に移行」ということも現実のものだろう。
 今多くの家庭は、「簡単手作り」そして「ヘルシー」をモットーとしているようだ。これらをふまえて、時代のニーズとして受けとめ、新しい郷土料理の「創作」についても視野の中に入れておかなければならないかもしれない。
 「だし」をベジタブルソースにアレンジメントしてパスタと組み合わせた料理が「新しい郷土料理コンテスト」で全国第三位に入賞した。一昨年のことである。全国的にもこの分野に視点があてられはじめたということだろうか。
 『医食同涯、山形の食べもの』――。最後にこんな提案をして締めくくりたい。三百有余年の壮大なロマンと共に、巨万の富をもたらした最上紅花。ついこの間まで観光キャンペーンのキャッチフレーズにもなっていた紅花。この「紅花」に、食の文化を組み合わせ、再度光をあてたいと思っている。幸いにして、医薬的見地から専門家により、生活習慣病や老化の防止にかかわる成分含有が証明されたこともあり、その想いを一層強くしている。下処理いかんでは紅花は食素材として多様性に満ちている。
 エジプトに端を発する歴史的ロマン。健康な付加価値。優寿な県産米と紅花。この組み合わせによる新しい食文化の創造は、山形を訪れる人々の体を「元気の精」で溢れさせ、原風景をとどめる自然は精神をリフレッシュさせる。山形は元気の出る県、訪れる人々みんなからそう思っていただけることを信じている。
 伝統食の温故知新、古き伝統と新しい創造を巧みに操り、山形を訪れる人々に食を通して春夏秋冬の感動を味わっていただくための努力、提案。また、この度は触れられなかったが、幼児期における「食」のあり方が子供の人格形成にかかわるという「食育」に関する啓発・実践などは、「食」に携わる者としての生涯の義務と考えている。

 【出典:「Future SIGHT6号」(1999年9月発行)】

心の安らぐ温泉街を目指して

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