e-yamagataトップページに戻る やまがたの暮らしまるごと応援サイト 「い〜山形どっとこむ」
|インフォメーション |サイト利用規程 | 街並み画像
e-yamagata e-住まいづくり ライフスタイル コミュニティ サイトマップ メルマガ登録 メンバー募集 初めての方へ

コミュニティ
> ぷらっとフォーム > 農が結ぶ縁・縁がつなぐ人とムラ


やまがた便利帳
 
ぷらっとフォーム
 
新!い〜やまがた発見!体験記
 
い〜やまがた発見! 体験記
 
街かど工房
 
アルカディア街道
 
Shonai
Value station


e-yamagata.com編集部のスタッフが撮影しています
Mr.e-yama
photographed.


農が結ぶ縁・縁がつなぐ人とムラ

 新庄地域の百姓たちと都会で暮らす人たちのさまざまな縁が重なり合って、平成7年に「ネットワーク農縁」は旗揚げした。会の結成当初は、生産者と消費者の交流を目指して、米の産直を主な活動としていたが、4年前、東京に住む会の女性メンバーから遺伝子組み替え大豆への対抗策として、自分達で安心できる大豆を減反田で栽培し、販売できないかという提案があった。


 農家の仲間からは、販売ルートなどについて危惧する意見もあったが、提案は、大豆の供給方法を普通の産直ではなく、トラストでやろうというものだった。

 トラストは、一定量を一定額で買い取る契約栽培とは違い、消費者への分配量の保証はない。栽培から分配を生産者に託し、その対価として消費者が定額を支払うシステム。つまり、買い取る側が生産者の所得を保証するする仕組みだ。運営方法は産地によって異なるが、「農縁」では話し合いのうえ、参加会員は10坪1口の権利を4,000円で買い、収穫された大豆を受け取る仕組みとした。これまでの会員への分配量は1口当たりおおよそ4.5〜5.5kg。現在は、大豆のはか味噌や醤油、豆腐、納豆の加工食品での分配も行っており、単品や混合配布など、会員のニ−ズに合わせた方法を検討中だ。
1921年 新庄市谷地小屋生まれ
1948年「豊稲会」立ち上げ
1995年「ネットワーク農縁」立ち上げ
全量産直農業を目指す。

ネットワーク農縁 新庄事務所
〒999−5102 
新庄市仁飼山261
TEL/FAX
0233−25−3232(星川)

高橋 保廣
yasuhiro takahashi
「ネットワーク農縁」代表
yasuhiro
takahashi

 大豆トラストを提案した女性メンバーが、取り組みを日本消費者連盟の「遺伝子組み替えいらないキャンペーン事務局」に紹介すると、各報道機関がこれを取り上げてくれて、あっという問に「ネットワーク農縁」の名前とともに、新庄が大豆トラスト発祥の地として全国に知られるようになった。

 平成11年2月には、東京のメンバーや新庄市の協力によって、市内で「ダイズ畑トラスト全国交流大会」を開催することができた。当日は猛吹雪だったにもかかわらず、九州や北海道からも人が押し寄せ、250人定員の会場が溢れるほどになった。この大会が、自分達の活動を客観的に見つめる機会にもなったし、トラストの方式にも自信がもてた。今年の2月には、日本消費者連盟が主体となり、東京の八丁堀で、我々の会を中心とした全国交流会を開いてくれた。現在、全国で大豆トラストを行う団体や農家は80カ所余りに及ぶという。

 活動を始めた頃には、正直、このような全国的な運動になるとは想像もしていなかった。そもそもは、農家同士の絆を復活させよぅと始めた集落内での小さな活動だった。

 私が住む新庄市各地小屋地区は、33戸の農家からなる小さな集落だが、それでも、昭和50年代の当初、私が27〜28歳の頃には、青年団もかつてのような活力はなく、地域の結束カはなくなっていた。近所に農作業を一緒にやろうと声をかけると、機械があるからオレの田んぼはオレでやる、大型機械を共同購入しようと持ちかけると、機械化するくらいの金はあるから要らぬ世話だと言いたげな返事が返ってくる。村の祭りも、オレは知らぬ存ぜぬといった顔ばかり。

 このような状況では、当時小学校に通う倅が大人になった頃、村はどうなるのかと不安になった。親から息子へ受け継がれるものと同時に、村の共同体の関りの中で、先人から後輩に受け継がれるものも確かにあるはずだ、と。

 そこで、村の同世代の長男に呼びかけて、会を作った。名前は放蕩息子をもじつて「豊稲会」。始めは、週1回の会合で、酒を飲んで愚痴をこぼしたり、ディスコ通いを繰り返すウサ晴らしの集まりだった。しかし、村の在りようへの反発などから、しだいに仲間内で農薬の影響や農法などについてテーマを選んで研究し、発表を重ねるようになった。月のうち何回かは外部の講師を招き、低農薬有機の米づくりについても研究するようになった。

 その頃、村の若い者たちは、冬場はほとんど首都圏に出稼ぎに行っていた。「豊稲会」のメンバーは出稼ぎ先でも定期的に集まり、仕事の労をねぎらい合うかたわら、以前から面識のあった帝京大学の農業経済学の教授などを招いて勉強会も継続した。

 フリーライターの井ノ部具之さんと知り合ったのもその頃だった。米の自由化問題に関心を寄せていた井ノ部さんは、我々が低農薬有機の米づくりに取組んでいることを知り、東京都北区の住民との産直を提案してきた。その上、勧誘や広報、取引窓口となる東京事務局までを買って出てくれた。

 また、同じ頃、都内の小学校の栄養士とも知り合い、PTAが動いてくれて、給食用の米の産直が実現した。

 これらの動きがきっかけとなり、首都圏の環境活動グループなどとのネットワークもできて、後の 「ネットワーク農縁」 の結成につながっていった。

 昨年からは、大豆に続く第2の遺伝子組み換え対抗運動として、水田トラストを始めた。栽培するイネの品種は、かつて県内で盛んに栽培されていた「さわのはな」。この水田トラストは、1口3万円で30坪。一般に流通する米に換算すれば、2倍以上の価格に相当し、「高すぎる」と思ったが、都市側のメンバーが、「農村で元気に暮らすには必要な価格」と言って譲らなかった。現在、大豆トラストには500人以上、水田トラストには100人近い参加会員がいる。

 これらのつながりを通じて、年に数回、首都圏の学生などを中心とする若者たちが、新庄へ農業体験に訪れる。タニシやミジンコの住む田んぼで渦だらけになり、また晩飯のおかずにと、生まれて始めて鶏を絞める体験などをしながら、命の循環や環境や農業の原風景について、それぞれに感じ、想いを語り合っていく。彼らと接し、その手応えを感じるとき、私自身も生かされていると思い、百姓をやってて良かったとしみじみ実感する。

 昨年の7月には、「農縁」が中心となって、農業用水や井戸水、河川の水質調査を行う市民団体「新庄占瀬上環境会議」を立ち上げた。きっかけは、産直でつながった神奈川県の市民グループの提案だった。

 調査を進めるにつれて、集落の家庭で日常的に使用している井戸水が川の水以上に汚染されている実態が明らかになってきた。化学肥料を使い続けたことによって、土の中の微生物が死滅し、浄化能力がなくなっているのだ。この調査の結果しだいでは、稲作を基幹産業とする新庄市の基盤が根本から崩れてしまいかねない。しかし、水質の問題は、安全な農業のためには避けて通れない問題である。対策を現在検討中だが、結果は、シンポジュームなどを通して、すべて公表していくつもりでいる。

 我々の活動を支えているのは、自分達も一緒に生産し、環境づくりをしているのだという想いでいてくれる消費者だ。新庄・最上地区は、人の体に害のない農作物を提供し、環境について情報発信していくことのできる全国でも数少ない地域であると思う。
 新庄市では現在、旧蚕糸試験場の跡地利用について検討されている。ここが、全国の農家や消費者や学生がいつでも集い合い、環境保全や農業問題について発信し、新庄・最上の農産物は最高だと言われるための情報基地になればいいと考えている。

【出典:「Future SIGHT12号」(2001年春 発行)】

「人々の心を一つにする黒獅子まつり」

e-yamagataトップページに戻る